日野宿交流館…新撰組のグッズや、東京・日野市の名物などを買える観光案内所も兼ねた建物である。
私はふと、二ー三年前にここで、新撰組副長・土方歳三が函館で撮影した肖像写真のポストカードを一枚、百円で購入したことを思い出した。(ちなみにこの肖像写真は二パターンあって、土方歳三が左手を腰に当ててポーズを決めて座っている写真と、普通に手を前にして座っている写真である。なぜか前者の方は少しぼやけていて土方の美男ぶりがうかがえず、後者の方がはっきりと顔がうつっていて、いかにいい男であったかがよく分かる写真となっている。ちょっと余計な話だが…)
その日野宿交流館の前を久々に通りかかったため、二ー三年ぶりに入ってみる気になった。ポストカードのもうひとつのパターンを百円で購入して二枚揃えるのも面白い、と…。
土方さんが普通に座っているパターンのポストカードを一枚手にしてレジに行くと、中学一、二年くらいに見える少年が、母親と思われる中年女性と一緒に会計している最中である。
彼は新撰組隊士のフィギュア(人形)を集めるのに今、夢中らしく、
「山南さんの…隊士服姿のほうをください!」
などと真剣に注文している。屯所から脱走し、切腹を命ぜられた山南敬助のことだろう。あえてその人を選ぶこの少年のマニアックさは特筆に値する。
同じ新撰組隊士のフィギュアでも、隊士服姿や平服姿など、いろいろ選べるようだ。私も中学生の頃新撰組に夢中になり、両親に史跡に連れていってもらって、その先でさまざまな新撰組グッズを買ってもらったものだが…こんな多彩なフィギュアなど、当時は売られていなかったはずだ。